秘訣はVW[書評]山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた

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昨年、ノーベル生理学・医学賞を受賞された山中伸弥先生が、題名の通り人生とiPS細胞についてざっくばらんに語ったものです。

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もともとは、中学1年の長男MAGにiPS細胞を通じて理科に対する興味を深めてもらうことと、研究者という一つの生き方のサンプルを知ることで、自分の将来を考える上での参考にしてもらいたかったのが、購入のきっかけでした。

TONELIKOはMAGに毎月1ヶ月に1冊の読書を薦めているのですが、必ず事前にTONELIKOも読むようにしています。

中学生でも分かるような平易かつカジュアルな文体で書かれていますので、専門的な知識がなくてもさらっと読めるのがいいですね。

私自身、「iPS細胞ってなに? ES細胞とどうちがうの?」位のレベルだったのですが、まったく問題なく理解できました。本書にも記載されていますが、山中先生がアメリカ留学中に学んだプレゼン力が本書でも発揮されているようです。

P66

アメリカ留学中に学んでよかったと思うのがプレゼン力です。研究者は、ただ研究だけしていればよいのではありません。論文を書いたり、学会や講演会で発表して、自分の研究成果を広くわかりやすく伝えることも研究者の大事な仕事です。

 
iPS細胞に関する書籍は、現在amazonの本カテゴリーで検索すると既に300件以上がヒットするほどの盛況ぶりですが、中学生のみならず、iPS細胞に興味のある普通の大人にも、はじめの一冊としてオススメです。

iPS細胞とは、人工的に作られた幹細胞のことですが、様々な刺激を与えることで、筋肉、神経、心臓、肝臓など、多種多様な体の細胞を作ることができます。しかも高い増殖能力があり、理論的には、ほぼ無限に増やすことができるという特徴を持っています。

さらに、ES細胞と異なる、iPS細胞の画期的な点は以下の一文に付きます。

P5

iPS細胞は、体のいろいろな細胞から作ることができます。

このお手軽さはなんなんでしょう。まるで、西洋の昔話に出てくる魔法のようですね。

夢のあるワクワクした話にも思えますが、一方では自分の知らないうちに細胞が採取されてiPS細胞を作られてもおかしくないわけで、いつのまにか「人生、ブラボー!」になっている可能性もありえないことではないのはどうしたものかな。

 

P6

iPS細胞に変えた時点で、いったん細胞寿命がリセットされ、赤ちゃん時代の細胞の状態に戻るのです。

傷ついたり老化した体のパーツを新品に交換することで、自分の体をまっさらな状態にリセットできる。
そんなSFじみた未来が、そう遠くないことを感じさせます。

本書では、iPS細胞の説明のみならず、山中先生がこれまでに歩んできた道のりについても語られています。

P37

次第に自分は整形外科に向いていないんじゃないか、一人前の臨床医になれないんじゃないかと悩むようになりました。しかし、ここで壁にぶつかったことが、研究者という新しい道につながったのです。

壁は必ずしも乗り越えるべきものじゃない。壁のない別の方向こそが自分の進む道だったってこともあります。

物心つくかつかないかの頃から、自分の進む道を迷うことなく選択できてしまうような人もごく稀にいますが、世の中のほとんどの人間は、あっちでもない、こっちでもないと迷い、挫折を繰り返しながら、自分の道を探して彷徨っているのではないでしょうか。

ノーベル賞受賞者である山中教授も、その点私たち凡人と大差ないようで、ちょっと気分も楽になります。

では、凡人と山中教授の違いはいったいどこにあるのでしょうか?
それも実は本書にしっかりと記載されています。

P65~66

「研究者として成功する秘訣はVWだ。VWさえ実行すれば、君たちは必ず成功する。研究者にとってだけでなく人生にとっても大切なのはVWだ。VWは魔法の言葉だ」
VWのVは、Vision(ビジョン)のVです。ビジョンとは長期的目標といいかえてもいいかもしれません。VWのWはWork hardのW。つまりハードワーク、一生懸命働くということです。研究者として、また人間として成功するにはビジョンとハードワークが必要で、どちらが欠けてもダメだというのです。

ところで、「iPS細胞」ってどこか見覚えのあるネーミングだよな~、と思ったらやっぱり!

P149

この新しい細胞に、ぼくはinduced pluripotent stem cellsという名前を付けました。略称はiPS細胞です。最初の文字を小文字にしたのは、当時、流行していた携帯型デジタル音楽プレイヤーのiPodにあやかりました。

なんかどことなく画期的な新製品のネーミングのような響きがするなあと思ってたんですが、そういうことだったんですね。
確かにインパクトがあって覚えやすく、なんとなくスタイリッシュで最先端な印象を受けるよなあ~。

P123

ぼくは科学技術は必ず進歩するので、いまは到底不可能と思われることでも、理論的に可能なことはいずれ必ず実現すると考えています。

なんだかオラ、わくわくしてきたぞ

 
以上TONELIKOでした。
 

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