もしあなたが自己破産を決心したのであれば、今後の行動に関して7つほど注意していただきたいことがあります。
この7つのことをやってしまうと、せっかく勇気を持って決断した自己破産ができなくなってしまうからです。
自己破産前にやってはいけないことは、以下のとおりです。
- 財産を隠す
- 直前に不動産などの名義を変更する
- 債権者を隠す
- 一部の借入先だけに支払う
- 返すつもりのない借金をする
- クレジットカードの現金化
- 専門家への依頼前に債務整理することを債権者に伝える
このようなことを行うと、詐欺破産罪に問われる可能性があります。
詐欺破産罪はかなり重い罪で、10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、場合によっては両方が科される可能性もあります。
さらに、詐欺破産罪の有罪が確定すると、免責決定後でも免責が取り消されてしまいます。
もうすこし詳しく解説しますので、自己破産前にやってはいけないことをよく確認しておいてください。
財産を隠す

財産の処分を免れるために、財産を隠す行為は詐欺破産罪にあたる可能性があります。
財産目録には、正直にすべての財産を記載するようにしてください。
また、自己破産には同時廃止と破産管財の2種類があります。
同時廃止なら2万円くらいで済みますが、破産管財事件になると破産管財人が専任され、最低でも20万円以上の裁判所への予納金が必要になります。
これを避けるために、意図的に財産を処分したり名義変更によって隠そうとすると、詐欺破産罪に問われる可能性があるので絶対にやめましょう。
直前に不動産や携帯電話などの名義を変更する

自己破産の直前に不動産や携帯電話などを家族名義に変更すると、財産を隠そうとしているとみなされます。詐欺破産罪に問われる可能性があるので注意してください。
離婚を装って、資産を自分から意図的に切り離すような行為も同様です。
まず間違いなく資産隠しは見つかります。資産隠しが発覚して免責不許可になるだけでなく、詐欺破産罪に問われてしまうかもしれません。
しかも、このような名義変更は、破産管財人による「否認」という手続きによって失効してしまうので、けっきょく名義変更前の状態に戻ってしまいます。
どうしても家を処分したくないのであれば、個人再生を検討しましょう。
債権者を隠す

たとえば、保証人のついている借金の場合、あなたが自己破産すると返済請求がすべて保証人に向かってしまいます。
「保証人に迷惑をかけたくない」という気持ちは分かりますが、債権者を隠すような行為は詐欺破産罪に該当してしまいます。
債権者名簿には、債権者すべてを漏れなく記載するようにしましょう。
また、多重債務に陥っている場合、すべての債権者を把握しきれていないこともあるでしょう。申告漏れがあると、記載しなかった債権だけ免責されなくなってしまいます。
免責手続き中でも間に合いますので、気づいた時点で早急に申告し直してください。よほど悪質なケースでない限り、特例の免責許可が出ることも少なくありません。
なお、故意に申告しなかった場合、免責不許可事由の虚偽記載となりますので気をつけてください。
一部の借入先だけに返済する

「人間関係を壊したくないから、親兄弟や友人・知人からの借金だけは返しておきたい」
その気持はわかりますが、これは偏頗行為と呼ばれる免責不許可事由に該当しますので、免責を受けられない可能性があります。
個人的な借り入れであっても、自己破産手続きを行おうと判断した後は、返済は停止しなければなりません。
自己破産を行なう場合には、債権者平等の原則に注意してください。
なお、家賃や水道光熱費・電話代などは生活に必要不可欠な支払いと認められていますので、これまで通り支払っても問題ありません。
返すつもりのない借金をする

弁護士や司法書士に破産手続きを委任してからはもちろん、破産手続き直前であっても、ローンを組んだり新たに借り入れするのは止めましょう、。
支払不能なのに借り入れすると、返済意思がないのに借り入れしたとみなされて、免責不許可事由に該当してしまいます。
悪質な場合、詐欺罪や詐欺破産罪に問われる可能性もありますので、絶対に行ってはいけません。
とくに、過去一度も返済を行っていない業者がいる場合は要注意です。
その状態で自己破産しようとすると、踏み倒すつもりがなくても詐欺破産とみなされる可能性があるからです
この状態を解消するためには、最低でも半年から1年以上、もしくは借入額の半分くらいは返済しておく必要があるでしょう。
クレジットカードの現金化

破産手続き直前に、クレジットカードで商品券などを購入し現金化するようなことはやめましょう。破産することを念頭に置いた計画的な借り入れとみなされることがあります。
免責不許可事由に該当し、自己破産の免責許可が下りないかもしれません。
悪質な場合は、詐欺罪や詐欺破産罪が成立する可能性もあります。
専門家への依頼前に債務整理することを債権者に伝える

取り立てや督促電話がかかってくると、諦めてもらうことを期待して「債務整理をする予定なので、督促はやめてください」と言いたくなりますよね。
債務整理の予定を伝えるのは、すでに弁護士や司法書士に依頼済みであれば、まず問題ないでしょう。
しかし、まだ依頼していないのであれば、やめておいたほうが無難です。
お金を貸している業者からすると、あなたに債務整理をされてしまうと債権回収が難しくなってしまいます。
そのため、債務整理の予定があることを伝えると、かえって強硬な手段で回収してくるかもしれません。
「債務整理の予定がある」と言ってしまうと、督促をやめるどころか、むしろ逆効果になってしまう可能性があります。
デメリットしかないので、債務整理することは債権者に伝えないほうがよいでしょう。
正直に誠実にを心がけてください
自己破産は、国が認めている救済手段のひとつですが、債権者に迷惑をかける行為であることは間違いありません。
故意でなかったとしても、そのような救済手段を悪用していると判断されると、詐欺的行為として罰せられてしまいます。
自己破産を進めるにあたっては、正直に誠実にを心がけることが大切です。
もし、上記「自己破産前にやってはいけないこと」をこれからやろうと思っていた方は、思いとどまってください。
また、すでにやってしまった方は、弁護士や司法書士といった専門家に相談しましょう。
免責不許可事由に該当する行為があったとしても、必ずしも免責許可が下りないわけではありません。
債務整理に関して無料で相談できる専門家もいますので、まずはそのようなところへ相談するとよいでしょう。
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参考記事:
自己破産前にしておくべきことに関しては、下記記事で解説しています。併せて確認しておきましょう。

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