自己破産前にしておくべき12のこと

債務整理

自己破産を決意したら、手続きをスムーズに進めるためにもやっておいたほうがよいことがあります。

やるべきことをやっておかないと、免責されるはずの借金が残ってしまったり、今以上に苦しい生活に陥ってしまうこともあるので注意してください。

やっておくべきことは以下のとおりです。

  1. 債務と財産をまとめておく
  2. カードショッピングやカードローンも借金として申告する
  3. 親族や友人・知人からの借金も確認する
  4. 誰かの借金の保証人になっていないか確認する
  5. 生命保険の内容を確認する
  6. 分割払いの携帯電話代を支払っておく
  7. 銀行口座を確認する
  8. クレジットカード払いになっているものを口座振替に変更する
  9. 定期支払のものを解約しておく
  10. 1回も返済していない業者がいないか確認する
  11. 保証人や連帯保証人がついている契約はないか確認する
  12. 生活費を確保しておく

では、それぞれについて詳しく説明していきます。

1.債務と財産の状況をまとめておく

弁護士や司法書士がいくら債務整理の専門家でも、あなたの置かれた状況が分からなければ手続きを進められません。

手続きをスムーズに進めるためにも、相談前に自分の債務と財産の状況を一覧表にしてまとめておきましょう。

自己破産の申立の際に、記載する内容を下記に紹介します。弁護士や司法書士に相談する段階では、ここまで厳密でなくてもかまいませんが、参考までに確認しておいてください。

債権者一覧表

債権者一覧表に記載すべき内容は以下のとおり。

記載項目 記載内容
債権者名 個人の債権者の場合はあなたとの関係も
債権者住所 破産を知らせる送達場所として必要。郵便番号から
借り入れ時期 ◯年◯月◯日から◯年◯月◯日
現在の残高 利子や延滞金、税金を除く元利合計
借金の原因 浪費、生活費、ギャンブルなど
借金の使途 実際に何に使ったか
保証人の有無 保証人がいる場合は氏名も
担保の有無 担保がある場合は担保の種類
差し押さえ等の有無 差し押さえがあるかないか
最終返済日 一度も返済していない場合はその旨も

その他には、債権者の合計、現在の債務残高合計、保証人の氏名・郵便番号・住所なども記載しましょう

> 参考記事 各種書式集|神奈川県弁護士会

財産目録一覧表

財産目録一覧表に記載すべき内容は以下のとおり

記載項目 記載内容
現金 手持ちの現金残高
預貯金 銀行・支店・口座番号・残高を口座ごとに残高
退職金請求権 申立日現在において自己都合により退職した場合の支給見込額の1/8相当額
貸付金 相手方・貸付日・貸付額
積立金 積立開始日と金額
保険 会社名・保険種類・番号と金額
有価証券 評価額
自動車 車名・年式・査定額
不動産 物件ごとに所在・地番・価額および抵当権の被担保債権残額

> 参考記事 各種書式集|神奈川県弁護士会

2.ショッピングやカードローンも借金として申告する

債権者一覧表に、住宅ローンやキャッシングだけ載せてしまってはいませんか?

クレジットカードでのショッピングや銀行のカードローンの未払金があるなら、これも借金に当たります。

自己破産の手続きの際には、債権者として申告しなければなりませんので、記載漏れしないよう注意しましょう。

3.親族や友人・知人からの借金も確認する

親族や友人・知人からの借金も、忘れずに必ず申告しましょう。

自己破産の手続きの際には、裁判所にすべての借金を申告しなければなりません。

債権者の一部を申告しないと、その分は免責されませんし、債権者を隠す行為は罪に問われる可能性があります。

自己破産の手続きをスムーズに進めるためにも、申告漏れがないよう注意しましょう。

4.誰かの借金の保証人になっていないか確認する

子供の奨学金など、誰かの借金の保証人になっている場合も申告する必要があります。

保証人も、保証債務という借金だからです。

誰かの借金の保証人になっていないか、必ず確認しておきましょう。

5.生命保険の内容を確認する

貯蓄型の生命保険の場合は、解約しておくことが望ましいでしょう。自分名義の生命保険は、解約しなければ破産免責が下りません。

いずれにせよ、生命保険の積立があると、管財人によって解約させられて積立金は没収されてしまいます。

また、解約を免れるために隠していることが発覚すると、破産免責が出ないので注意してください。

なお、掛け捨ての生命保険の場合は、解約しなくても大丈夫です。

6.分割払いの携帯電話代を支払っておく

携帯電話の分割払いが残っていると、携帯会社にも破産申請の通達が届きます。

すると、携帯電話が自動的に解約されてしまい、あなたの携帯電話は携帯会社に回収されてしまいます。

債務整理すると、一括払い以外で携帯電話を購入することはできなくなってしまいますので、携帯代金の残債が残っているなら、事前に一括で支払っておきましょう。

7.銀行口座を確認する

自己破産すると、銀行口座が凍結してしまうことがあります。凍結が解除されるまでの間、生活に支障をきたす可能性がありますので、事前に対策しておきましょう。

銀行口座から現金をすべて払い戻しておく

破産申立をする前に、銀行口座から現金をすべて払い戻して残高を無くしておきましょう。

破産しても現金は99万円まで手元に残しておくことが可能ですが、20万円以上の預金は管財手続きの際の換金対象になってしまうことがあります。

また、クレジットカードの自動引き落とし口座になっていると、いつの間にか預金が引き落とされてしまうかもしれません。

破産手続き中に口座から引き落とされたお金は、管財人が管理する口座に返金されて、自分の手元には戻りません。

さらに、銀行から借り入れを行っている場合は、破産手続きを開始すると、口座を凍結される上に預金を残債の返済に充てられてしまいます。

給料や手当などの振込先を変更する

クレジットカードの引落口座になっていたり、その銀行から借り入れしている場合は、給料や手当などの振込先を変更しておきましょう。

自己破産手続きを行うと口座を凍結されてしまうので、給料が入ってきてもお金を下ろせなくなってしまうばかりか、債務と相殺されてしまうでしょう。

そこで、借り入れをしていない銀行に口座を作って、そこを振込口座にしてください。借り入れさえなければ、凍結される心配はありません。

なお、自己破産手続き中でも、銀行口座の新規開設はできます。

引落先を変更する

凍結される可能性のある銀行を、家賃や水道光熱費、電話代、年金など公共料金に関する引落先口座に指定している場合は、口座を変更しておいた方がよいでしょう。

口座が凍結したばかりに滞納してしまったとしても、ただちに家を追い出さされたりライフラインを止められてしまうことはありません。

しかし、引き落としができないと、それぞれの指定口座に振込しなければならないので、よけいな振込手数料と手間がかかってしまいます。

銀行口座が凍結される期間は、自己破産を弁護士に依頼し、弁護士が送付した「受任通知」が銀行に届いたときから2ヶ月程度の期間です。
「自己破産すると、家族や親類の銀行口座も凍結されてしまうんじゃないか?」と不安な方もいるかもしれませんが、家族の口座が凍結されることはありませんので安心してください。

8.クレジットカード払いになっているものを口座振替に変更する

水道光熱費や電話代などをクレジットカード払いにしていませんか?

クレジットカードが止まると、払込依頼の手紙が発送されますが、破産手続き中の郵便物は管財人宛に送られるので、自分の手元に届くまでに時間がかかってしまいます。

その間に、万が一電気や水道が止められてしまったら困りますよね。

なので、クレジットカード払いになっているものは、あらかじめ口座引落に変更しておきましょう。

なお、既存の口座は破産手続き中は凍結されるおそれがありますので、新しく作った銀行口座か配偶者の口座を指定しておくことをおすすめします。

9.定期支払いのものを解約しておく

健康食品や化粧品などで、定期購入しているものがある場合は解約しておきましょう。

もし、最低回数の縛りがある場合は違約金が発生しますが、これは破産の際には債務となりますので、担当の弁護士か司法書士に伝えるようにしてください。

10.1回も返済していない業者がいないか確認する

お金を借りたまま、1回も返済していない業者はいませんか?

1回も返済していないと、破産することを前提に返済する気がないのに借りたと判断され、免責が認められないばかりか破産詐欺罪に問われる可能性があります。

しかし、1回も返済していなくても、必ずしも免責が認められなかったり破産詐欺罪に問われるとは限りません。

無事免責が認められることもありますので、そのような業者がある場合は、専門家への相談の際に、1回も返済していない業者があることを隠さず伝えるようにしてください。

11.保証人や連帯保証人がついている契約はないか確認する

保証人や連帯保証人がついている借金はありませんか?

あなたが自己破産をすると借金の返済を免除されますが、保証人も同じように免除されるわけではありません。 あなたから債権を回収できない以上、債権者は保証人に対して借金返済を要求するはずです。

保証人に自己破産の件を連絡しておかないと、保証人との間のトラブルになりかねません。自己破産の前に、保証人とよく相談しておいてください。

もし、保証人も支払いが難しいようでしたら、一緒に債務整理を検討した方がよいかもしれません。

12.生活費を確保しておく

サラリーマンなど、毎月の収入が確実に入ってくる人は問題ありませんが、個人事業主や法人の代表者は生活費を確保しておくべきです。

自分で事業をやっている人は、自己破産をすると生活費を得る手段が絶たれてしまうからです。

自己破産の際には、99万円までの現金は所持することを認められています。

破産手続き中の生活資金を確保するためにも、早急に再就職するか、事業の一部だけでも継続する方向で手続きを行っておきましょう。

自己破産前にやっておくべきことをやっておきましょう

自己破産を進める際には、以上のことをしっかりやっておく必要があります。

おもな理由は二つあって、「自己破産の手続きをスムーズに進めるため」と、もうひとつは「手続き期間中の生活に困ることのないため」です。

前者に関しては、弁護士や司法書士といった専門家の方に相談すれば指導してもらえるでしょう。

しかし、後者の「手続き期間中の生活に困ることのないため」にしておくべきことに関しては、必ずしも教えてもらえるわけではありません。

親切な専門家だとアドバイスしてもらえるかもしれませんが、そうでないケースもありますので、自分でしっかり対策しておいてください。

参考記事:

自己破産前にやってはいけないことに関しては、下記記事で解説しています。併せて確認しておきましょう。

自己破産前にやってはいけない7つのこと
もしあなたが自己破産を決心したのであれば、今後の行動に関して7つほど注意していただきたいことがあります。この7つのことをやってしまうと、せっかく勇気を持って決断した自己破産ができなくなってしまうからです。自己破産前にやって...

コメント