債務整理をしてブラックリスト入りすることの5つのデメリット【任意整理・個人再生・自己破産】

債務整理

「任意整理」「個人再生」「自己破産」

どの債務整理を選んでも、あなたの名前はブラックリストに入ります。

「債務整理をするとブラックリスト入りする」と聞くと、なんだか恐ろしい印象がありますよね。

でも、それはブラックリストとはどんなもので、具体的にどのようなデメリットがあるか分からないからではないでしょうか。

じつは私も以前は「絶対に入りたくない!」と身構えていたんですが、よく調べてその実態が分かってくると「さほど恐れるほどのことじゃないな」と思えるようになってきたんです。

もちろん気軽に考えてよいものではありませんが、必要以上に恐れなくても大丈夫ですよ。

この記事では、ブラックリストのデメリットについて詳しく解説します。よくその実態を確認して、債務整理に対して正しい判断ができるようにしてください。

ブラックリストとは?

「ブラックリストに載る」とは?

「ブラックリストに載る」というのは俗称で、実態としては「信用情報機関に事故情報が掲載される」ということです。

誤解が多いのですが、実際にブラックリストという名の「債務整理者一覧表」らしきものがあるわけではありません。

なお、信用情報機関には以下のようなものがあります。

信用情報機関 業種
株式会社日本信用情報機構(JISCC) 消費者金融
株式会社シー・アイ・シー(CIC) 信販会社
全国銀行個人信用情報センター(KSC) 銀行

これら3機関は相互に情報共有しています。

したがって、ひとつの信用情報機関に事故情報が掲載されれば、当然その情報も3機関すべてで共有されます

信用情報機関の登録情報は新規借り入れの際に確認されますので、ブラックリスト入りしていると、通常はどこにも借り入れはできません。

また、現在利用しているカードについても、更新の際には情報を確認されるため、使えなくなってしまう可能性があります。

3ヶ月以上延滞でもブラックリスト入り

債務整理を行うと必ずブラックリストに掲載されますが、じつは他にもブラックリスト入りしてしまう原因があるんです。

それは、3ヶ月以上の延滞をした場合です。

基本的には3ヶ月以上延滞すると、事故情報として登録されてしまいます。

ですから、すでに3ヶ月以上借金の返済を滞納しているようでしたら、あなたはすでにブラックリスト入りしている可能性が高いでしょう。

なお、ほんの数日支払いが遅れたくらいでは、通常は即ブラックリスト入りはしません。ただし、絶対ではありませんので注意してください。

ブラックリストに登録される期間

では、一度ブラックリストに登録されてしまうと、一生その情報は消えないのでしょうか?

いいえ、そんなことはありません。

ブラックリストに登録される ( 信用情報に事故情報が掲載される)期間は、債務整理の手続ごとに以下のようになります。

手続き 事故情報の登録期間※
任意整理 和解成立もしくは完済から約5年
個人再生 再生計開始もしくは完済から約10年
自己破産 免責決定から約10年

※登録開始の起算日に関しては専門家の間でも意見が分かれており、明確ではありません。

登録期間が終われば、あなたの信用情報から事故情報(ブラックリスト)は抹消されます。

しかし、ブラックリストから消えたとしても、絶対に借り入れができるようになるとは限りません。なぜなら、社内ブラックというものがあるからです。

社内ブラックに残る可能性

一定期間が経過すれば信用情報機関の事故情報は消えますが、それとは別に整理の対象となった金融機関も、社内に独自の事故情報リストを持っています。

このような「社内ブラック」に登録されてしまうと、その情報は半永久的に消えないと考えたほうがよいでしょう。

したがって、整理の対象となった金融機関では、再び借り入れをすることはまずできません

また、社内ブラック情報はグループ会社間でも共有されている可能性が高いので、銀行傘下に入っている消費者金融を債務整理の対象にすると、その親会社でも借り入れは難しいでしょう。

大手消費者金融 銀行グループ
プロミス 三井住友銀行グループ
SMBCモビット 三井住友銀行グループ
アコム 三菱UFJフィナンシャル・グループ
レイクALSA 新生銀行グループ
ノーローン 新生銀行グループ
ジェイスコア みずほ銀行グループ

ブラックリスト入りすることの5つのデメリット

それでは、ここからはブラックリスト入りすることの具体的なデメリットについて解説します。かんたんにまとめると以下のとおりです。

  • 新規にクレジットカードを作れない
  • 車のローンを組めない
  • 住宅ローンが組めない
  • 家を借りにくくなる
  • 一部金融機関の就職が不利になる可能性がある

では、それぞれについて詳しく解説していきます。

新規にクレジットカードを作れない

これまでに説明したとおり、ブラックリスト入りすると、新規にクレジットカードを作ることはできません。

クレジットカードの発行会社は、発行時の審査で必ずあなたの信用情報を確認するからです。

とはいえ、クレジットカードが作れなくても、じつはそれほど大きなデメリットはありません。

今までクレジットカードに頼り切った生活をしていると、はじめのうちは大変不便に感じるでしょう。

しかし、借金に頼らない生活に戻るためのリハビリと考えれば、そう悪い話ではないのです。

持っていたクレジットカードが使えなくなる

債務整理の際に整理の対象にしたクレジットカードは、すべて使えなくなります。

しかし、任意整理の場合は、整理先の業者を選べるので、使い続けたいクレジットカードを除外して整理することも可能です。

そうすれば、一時的には整理対象から除外したクレジットカードを使い続けることができるでしょう。

しかし、カードの更新時には信用情報機関にあなたの信用情報が照会されます。多くの場合、そこで事故情報が発覚してカードが使えなくなってしまうでしょう。

クレジットカードが使えなくなったときの対処法について、詳しくは下記記事で解説しています。

車のローンを組めない

新規の借り入れができないので、当然ですが車のローンを組むこともできません。

新たに車を買うには、現金を貯めて一括で購入するしかないでしょう。

なお、自己破産の場合は所有する車の売却額が20万円を超えると判断されると、持ち続けることができません。 資産として換金の上、債権者に分配されてしまいますので注意してください。

住宅ローンが組めない

車と同じように、住宅ローンを組むこともできません。

住宅ローンは車以上に高額な借り入れなので、審査は極めて厳しいです。当然といえば当然ですね。

とはいえ、そもそも借金がある状態では、ほぼ審査は通りません。

今ある借金を完済しない限り住宅ローンを組むことはできないわけですから、債務整理したからといって、さほど状況は変わらないでしょう。

家を借りにくくなる

最近では、賃貸住宅の契約を結ぶ際に、保証会社の保証を付けるケースが少なくありません。

保証会社の中には、アプラスやオリコ、ジャックスなどの信販系も多いですが、このような信販系の保証会社は、CICやJICCという信用情報機関に加盟しています。

信販系の保証会社の場合、あなたの事故情報を確認できるため、保証を付けてくれない可能性は高いでしょう。

もちろん、信販系以外の保証会社に保証を依頼すれば、信用情報機関の情報にアクセスできないので、ブラックリスト入りがバレることはありません。

とはいえ、やや家を借りにくくなることはたしかです。

退去させられることはない

現在、賃貸している家の保証会社が信販系の場合、債務整理をすると保証を断られる可能性はあります。

しかし、滞納していない限りは退去させられることはありませんので、安心してください。

賃借人は、借地借家法によって、その居住権と生存権を強く守られているからです。

賃借人を退去させるには、正当な事由が必要ですが、債務整理は正当な事由とは認められません。

ただ、他の保証会社に保証してもらうなど、保証に関してはなんらかの手続きが必要になるでしょう。

銀行やクレジットカード、信販系の就職が不利になる可能性がある

銀行、消費者金融、クレジットカード会社には、信用情報機関へのアクセス権限があります。

そのため、就職(転職)活動では不利に働く可能性があるでしょう。

その他の一般企業に関しては、そもそも信用情報機関の登録情報にアクセスできないので、就職活動への影響はまったくありません。

他人に知られることはありません。

「ブラックリスト入りしたことが、周りの人にバレてしまわないだろうか?」

そんな不安をお持ちかもしれませんが、安心してください。

前述のとおり、信用情報機関の登録情報にアクセスできるのは、限られた業種の審査担当者だけです。

したがって、ブラックリスト入りしたことは、まず他人に知られることはありません。

クビになることはない

そもそも、他人に知られることはないので、ブラックリスト入りしたことを理由にクビになることもありません。

仮に知られてしまったとしても、それでクビにするのは労働基準法の不当解雇に当たります。

労働基準法では、「企業側に解雇するだけの合理的な理由」がなければ労働者を解雇することはできません。

ブラックリストの誤解

最後に、ブラックリストに関するよくある誤解を解いておきたいと思います。

戸籍・住民票・パスポートに記載されるの?

信用情報機関はいち民間団体なので、戸籍や住民票・パスポートとは関係ありません。したがって、戸籍や住民票・パスポートに記載されることはありえません。

選挙権はなくなるの?

民間団体の事故情報ぐらいで、選挙権を剥奪することなどありえません。ブラックリストに載っても選挙権はなくならないので安心してください。

海外旅行に行けなくなるの?

クレジットカードが使えなくなるので、海外旅行では不便になるかもしれませんが、個人の移動の自由を制限することなどできません。

ただし、自己破産の手続き期間中(3~4ヶ月程度)は、裁判官に許可を得なければ海外旅行には行けません。また、管財事件の場合、作業中の期間(4ヶ月~半年程度)は海外旅行が禁止されていますが、これも裁判所が許可すれば可能です。

とはいえ、これは裁判所が決めることなので、ブラックリストとは直接関係ありません。

電気・ガス・水道などのライフラインは止めらるの?

ブラックリストに入ったからといってライフラインが止まることはありえません。

ただし、公共料金をクレジットカードで支払っていた場合、クレジットカードが止まるので支払いができなくなってしまいます。

その場合は、支払い方法を口座引落やコンビニ払いに切り替えればよいでしょう。

家や車を手放すことにはなるの?

自己破産の場合は、家や車などの一定の資産を売却する必要がありますが、これはあくまでも裁判所が決定することです。

ブラックリストに入ることはまったく関係ありません。

親戚や家族に迷惑がかかることはあるの?

家族や親戚の信用情報と、あなた個人の信用情報は無関係です。

なので、あなたがブラックリスト入りしたとしても、それが原因で家族もブラックリスト入りすることはありません。

ただし、子供のために保証人や連帯保証人になろうとしても、事故情報のある人がなるのは難しいでしょう。

しかし、たとえば子どもの奨学金を申請する場合、機関保証を利用すれば問題なく奨学金を利用できます。なんらかの手段はあると思ってよいでしょう。

ブラックリストに載るデメリットは実際には大きくない

ブラックリストに載ると、クレジットカードを持てなくなったり、車や住宅ローンを組めなくなります。

また、一部金融機関への就職(転職)が難しかったり、家を借りたいとき信販系の保証会社から断られてしまう可能性もあるでしょう。

このようなデメリットがあることを踏まえつつ、メリットのほうが大きいのであれば、債務整理に踏み切るべきです。

たとえば、400万円の借金があって上限金利の15%がかかると、年間60万円の利息が発生します。1ヶ月では5万円にもなりますね!

つまり、このまま返済し続けると、将来ローンを組む可能性を残すために、毎月5万円の利息を払い続けることになるんです。

あるいは、クレジットカードを持ち続けるために、毎月5万円、年間60万円の会費を払っているともいえるでしょう。

これだけのお金を貯金にまわせば、どれだけ余裕のある生活が送れるでしょうか?

借金を返済し続けるより債務整理をしてしまった方が、経済的に合理的なケースは少なくありません。

ご自身では判断が難しいようでしたら、弁護士や司法書士といった専門家に相談することをおすすめします。なかには無料で相談に応じてくれる弁護士や司法書士もいますので、一度そちらから相談してみるとよいでしょう。

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